memory

 

カランとした水の音、透き通った瞳にぼくが映る。本のページを捲るたびに君の声が遠ざかっていく。それを天国と呼ぶのであれば、僕が今まで生きていたのは天界の端っこ。すごく遠い端っこにいた。地獄ではない、暗い天国の端っこで、羽を抱えて、地を張っていた。きっとそうに違いない。君がストローで啜るレモネードに、淡い蒼色のネックレスの涙型のチャーム。なくしてしまったの、と少し悲しげにそれを弄る君の目に遠い遠い空が見えたこと、内緒にしておきたいな、君がいた天国と僕のいた天界の端っこ、つなぐ橋は何処にあったのだろう。きっと一生分からないかもしれない、分からなくても良いと思えることがやはり天国のルールなのかもしれなくて、そっと微笑む、きみに、有難うを、ずっと。そんな言葉では足りないかもしれないけれど、ずっとずっと愛していること、ぼくの中では誇りで、何一つ成し遂げられないぼくの、唯一のひかりであること。ずっと日記に記しておこう。