20191217

 

肉体に興味がすごくある。

一枚皮隔てた先には臓器がひしめき合っているなんて、と思う。

 

自傷行為を始めたのはいまから5年ほど前の夏だった。心身共にひとから傷つけられた私の逃げ場はもうそれしか許されていないと思ったからだ。

最初は肉体を傷つけることに躊躇いがあった。純粋だった私は「親から頂いた身体に傷をつけるだなんて」と罪悪感を抱えながらカッターで恐る恐る軽めに腕を切りつけた。

すると血が溢れ出てくる、それを見て何してんだよとパニックを収める。そんな感じでだらだら5年間、腕を切り続けている。

 

痛いことは気持ちいいし、すきだから、腕を切っている時はセックスの最中と大差ないドーパミンが出ていると思う。いや、知らないけど。

それよりも剃刀で深く切ると、肉が見えてとても面白い。じろじろ見てしまう。白!と思う。白と赤でめでたいなあと思いながらティッシュで止血する。

 

しかし自傷行為はリスクを伴う。跡が残っているという理由で何度もアルバイトの面接を落とされたりした。母親は泣いて毎回剃刀を没収しに部屋を漁る。

 

ある人に「アムカじゃなくてタトゥーにしなよ」と飲み屋さんのお手洗いで言われたことがある。確かに、と思った。

タトゥーはずっと入れたいと思っていたし、高校を卒業したら入れる、と中学生の頃から思っていた。

しかし古き良き伝統を守って真面目に生きてきた母親は、タトゥーを入れたら勘当だと言うのだ。

だからタイミングを見計らって入れようと思っている、そのうち。

デザインは3箇所それぞれ考えている。まだ誰にも言っていないが、天使の羽根を絶対に掘りたい。場所は内緒。だってわたしには羽根なんてないから。