無題
虫の羽音、異様なまでに黄色くひかる月
不確かな感触、ぬめりの取れない心
へこんだペットボトルと遠くの山が
何も必要ないとおもっていた。世界にはじぶんひとりの感覚がしていて いつも蚊帳の中で一人、優雅に寝ている気分だった。誰もいない女子寮の廊下、白熱灯だけがゆらゆら揺れて、私はノートとボールペンを持って、夜中ふと部屋を抜け出して、懺悔をしに行っていた。
手と手が触れ合う瞬間、怖かったのを覚えている。自分の中のなにかが膨れ上がり、いまにも崩れ落ちそうで、蚊帳をびりびりとやぶり潜入されていくような、そんな感覚がして