無題

 

大きなままごとセットのような部屋で、私たちは数えるほどしかないセックスをした。絵に描けるような綺麗なりりしい顔立ちと身体、姉からもらったという華奢なベッドのアンバランスさ。いつまでも横顔を見ていられるので、ずっと見てると嫌な顔をされるのが好きだった。国籍は違うのにアラビアの王子様に見える、可愛らしい名前とまた見た目のアンバランスさが、子どもをみているようで私は健やかな気持ちになれた。彼の低い鼻歌と、わたしが本のページをめくる音しか響かない、あの部屋には、もう行かないと思った。彼のラッキーストライクと私のロングピースを交換した。半裸でベッドの上で見送る君は、やはり大きな子供に見えた。